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研究

基礎研究

全身性エリテマトーデスにおけるB細胞の活性化異常と特異的治療法の開発

全身性エリテマトーデス(SLE)における抗DNA抗体の病原性や、関節リウマチの発症におけるパルボB19ウィルスの関与など、国際的に高く評価される研究成果をあげました (ref)。

形質芽細胞は末梢血中に存在し、抗体産生能、分裂能を有する大きな細胞です。SLE患者末梢血中に形質芽細胞が増加しており、その遺伝子発現プロファイルを健常人を比較したところ、IFN signatureとcell cycle signaturteが上昇していることを見いだしました。以前よりSLEの病態に関与していると考えられていたIFNαによりB細胞の分裂が促進されますが、転写因子FOXM1を阻害することによりこの分裂も抑えることができ、治療に応用できる可能性が示唆されました(Akita et.al, Front Immunol. 11:498703. 2021 )。PLD4は形質細胞様樹状細胞(pDC;plasmacyotoid dendritic cell)に発現されている膜蛋白です。TLR7あるいはTLR9の刺激によりB細胞表面上に誘導され、SLE患者末梢血中にもPLD4陽性B細胞が健常人より多く含まれていることを見いだしました。このPLD4陽性B細胞は胚中心を介さずに活性化するExtrafollicular B細胞と類似した表現系を示し、自己抗体を産生しすることを明らかにしました(Yasaka et,al, Arthritis Res Ther. 25:200, 2023)。現在、形質芽細胞の遺伝子発現プロファイリングに基づく、疾患特異性の高い分子標的療法の開発を行っています。

SARFシステムを用いた抗血管内皮細胞抗体の対応抗原の同定とその病的意義の検証

膠原病患者血中には抗血管内皮細胞抗体(AECA anti endothelial cell antibody)が存在し、炎症への関与について着目されていましたが、対応抗原が不明でした。当教室で独自に開発したAECAの対応抗原を同定する発現クローニング法である、SARF法を用いて膠原病患者由来AECAの対応抗原をいくつか同定しました(Shirai et,a, Clin Dev Immunol, 2013:453058, 2013l, 。

高安動脈炎患者血清より見いだされた抗EPCR抗体は、活性化プロテインCによる炎症抑制効果を阻害することによる新たな炎症性病変形成機序を有していることが見いだされました。また抗EPCR抗体は潰瘍性大腸炎患者に血清にも認められ、自己抗体を基盤とする新たな疾患概念が示唆されています(Mutoh et.al, Nat Commun, 11;1252, 2020)。引き続き、これらの自己抗体に基づく疾患の層別化、新たな自己抗原の同定を行っています。

臨床研究

  • 全身性エリテマトーデスの形質細胞を標的としたボルテゾミブ治療の応用
  • 全身性強皮症の皮膚潰瘍に対する衝撃波治療の応用
  • 高安動脈炎に対するトシリズマブ治療併用によるグルココルチコイド減量効果の検討
  • 発症早期で低疾患活動性の全身性エリテマトーデスに対するベリルマブ治療効果の検討