教授挨拶
東北大学病院リウマチ膠原病内科診療科長および東北大学医学部保健学専攻臨床免疫学講座教授を務める藤井博司です。この度、新たな役割を担うことになり、大変光栄に思っています。
膠原病とは、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、多発性筋炎、強皮症、血管炎症候群など、全身の慢性的な炎症性疾患です。これらの疾患は、原因が未解明である一方で、「自己免疫」という複雑な仕組みが関わっていると考えられており、私たちの理解が進むにつれて治療法も大きく進化しています。特に2000年以降、分子レベルでの病態解明が進み、新しい抗体製剤やJAK阻害剤などが登場し、より効果的かつ副作用の少ない治療が可能となってきました。そのおかげで、多くの患者さんが日常生活に復帰し、充実した生活を送ることができるようになっています。
当科は、東北地方のリーディングホスピタルとして、最前線の治療を提供することに努めています。全身性エリテマトーデスや関節リウマチ、血管炎症候群などの疾患において、数多くの症例を治療し、その経験をもとに新たな治療法の開発にも取り組んでいます。私たちは、患者さん一人ひとりに最適なケアを提供するため、リウマチ膠原病内科医としての専門性を追究すると共に全身を診ることのできる優れたgeneral physicianを目指して研鑽を重ねています。
分子レベルでの新しい知見がどんどん得られ、臨床に応用されています。しかし、実際の患者を診療していると、より早期に正確な診断を行えるツールや、より選択性が高く副作用の少ない治療法など、さらなる発展が必要だと感じています。これらの課題に対して、実際の患者さんの血清や細胞を用いた基礎研究にも積極的に取り組んできました。基礎研究と臨床を融合させたアプローチで、新たな診断法や治療法の開発に積極的に取り組んでいます。 これからも、患者さんのために最良の医療を提供し続けるとともに、医療の未来を切り開く研究を進めていきます。若い皆さんがこの分野に興味を持ち、一緒に新しい挑戦をしてくれることを期待しています。どうぞよろしくお願いいたします。